樹脂メッキを使えば、装飾性、耐食・耐摩耗性、電気伝導性、磁性などの機能を付与できます。例えば、自動車や家電の装飾、電子機器の電磁波シールドなどです。当社では50年以上にわたって積み上げてきた樹脂メッキの経験とノウハウに加えて、成形メーカーや材料メーカーとのネットワークを活用し、多様な素材へのメッキ加工を可能にしています。また米国で使われる、樹脂メッキを施した電気製品はUL規格への準拠が必須ですが、当社はそのUL規格の認定数において業界随一を誇ります。
一点モノの試作や、金型から塗装・組立までの一貫生産にも対応いたしますのでご相談ください。
装飾クロムメッキは、ABSやABS/PCなどの樹脂成形品の表面に高級感のある金属色調に加えて、物理的・化学的な耐久性を同時に付与する技術です。過酷な環境下(砂漠や沿岸、豪雪地帯など)でも長期間にわたって美しい色調を維持できるため、自動車の内外装部品や家具、家電、水洗金具などの様々な分野や場所で使われています。ご要望に応じて様々な金属色調を表現することが可能です(一部協力メーカーでの対応となります)。これまで培ってきた経験とノウハウを基にお客様と一体となり、短期間での試作や量産に対応いたします。
また装飾クロムメッキ後のクリアー塗装も対応していますので、ご相談ください。
自動運転の導入や電動(EV)化、軽量化が進む自動車では,電磁波による電子装置(電装品)の誤作動が問題になっています。当社では、1985年にパソコン筐体向け電磁波シールドメッキ製品を市場投入し、それを皮切りに電磁波シールドメッキの開発を続けています。このため電磁波ノイズから電装品を保護するメッキなど、ニーズに合わせた電磁波シールドメッキをご提案いたします。
また、最近では近傍界に対するシールド対策技術が求められるようになっています。この近傍界へのシールド特性を高める磁性メッキもご提案致しています。
電磁波シールドメッキは、プラスチック上に均一な金属膜を形成できるため、プラスチックの物性を活かしながら、金属材料に近い電磁波シールド効果が得られます。
また、製品の特長やお客様の要望に合わせて、任意の場所に選択的に電磁波シールドメッキを施すことも可能です。
KEC電磁波シールド効果装置
※吉野電化工業には膜厚、膜厚構成、膜質劣化などを配慮した測定できるKEC測定装置を所有していまので、その装置と蓄積から数値データーで開発や品質状態の相談が頂けます。
電磁波シールドの性能はシールド効果(単位はdB)で示され、電磁波のエネルギーをどの程度減衰できるかで示しています。
電磁波は、電界と磁界からなる波です。高周波電流により電磁波ノイズが発生すると、この電磁波ノイズは電子機器に飛び込み、何らかの障害を引き起こします。この障害による誤動作などを防ぐのが電磁波シールドメッキです。
◉銅板を使った電磁波シールドと同等のシールド効果に加え軽量化、コスト削減に貢献します。
◉10MHz~1GHzの周波数帯で金属と同等、もしくはそれ以上の高いシールド効果を示すことを確認しています。
■ 他の電磁波シールド材との性能比較
金属(板) | シールド性能(dB) |
---|---|
鉄 | 60 |
銅 | 80 |
アルミ | 60 |
ステンレス | 60 |
パーマロイ(Fe+Ni) | 60 |
両面電磁波シールド※ | 74 |
部分電磁波シールド(OneSide) | 65 |
■ シールド性能と効果
シールド性能 | 効果 |
---|---|
10dB以下 | ほとんど効果なし (鉄筋コンクリートの壁と同等) |
10~30dB | 最小限のシールド効果あり |
30~60dB | 平均(携帯電話が圏外になるレベル) |
60~90dB | 平均以上 |
90dB以上 | 最高技術によるシールド |
※シールド効果は、膜厚が1μmの銅メッキで、厚みが3mm程度のアルミ板に匹敵。
電磁波シールド性能を維持しつつ部材の軽量化が可能。
電磁波のエネルギーを10,000分の1まで弱められます。
■ 吉野電化工業の無電解シールドメッキの仕様
メッキ方法 | 銅膜厚 | ニッケル膜厚 | 10cm間隔抵抗 | シールディング効果 |
---|---|---|---|---|
対象部品の全面をメッキする方法 | 0.8~1.2μ | 0.25μ前後 | 0.15~0.3Ω | 70dB以上 |
対象部品をマスキング・プライマーし 部分的にメッキする方法 |
1.5μ~2.0μ | 0.25μ前後 | 0.1~0.5Ω | 65dB以上 |
パソコン、スマートフォン、医療機器、車載カメラや大型プロジェクターなどに使用される筐体やカバーにメッキすることで電磁波シールド特性を付与します。電磁ノイズの発生や誤作動を防ぐことでデバイスの付加価値の向上や差別化を図れます。必要な電磁波シールド特性に合わせたメッキ仕様の設計も可能です。また、特定の部分のみに電磁波シールド効果を付与する部分シールドメッキなどの特殊なシールドメッキも取り扱っています。
過酷な環境でも劣化の少ないエンプラ・スーパーエンプラを用いることで高い信頼性が得られます。
ABSやABS/PCは自動車の内外装部品や家電、水洗金具、アミューズメント機器の素材として最も多く使われている樹脂です。この樹脂には、金属外観と機能を付与する装飾メッキや電磁波シールドメッキなどの様々なメッキ処理を施すことができます。ABSやABS/PCは、バランスのとれた機械的強度と耐薬品性(酸・アルカリ耐性)を有する非晶性熱可塑性樹脂です。また軽く、加工性(各種成形加工、切削、接着、溶接加工が容易)が高く、設計性にも優れるため様々な分野で使われています。一方で、耐傷性や耐候性、耐油性に劣るという短所があります。
エンジニアリングプラスチック(エンプラ)およびスーパーエンプラは、耐熱性、耐薬品性、機械的特性に優れた樹脂素材の総称です。使用環境が厳しい用途、例えば航空宇宙や自動車などの分野で使用されています。これらの素材は通常の工程ではメッキ加工を施せませんが、当社では専用ラインを使うことでメッキ加工が可能です。エンプラの中で、耐熱性が150°C以上の樹脂をスーパーエンプラと呼びます。
エンプラとスーパーエンプラはどちらも、化学的な安定性に優れているため、一般的な工程ではメッキ加工ができず、用途が限定されていました。しかし、これらの素材は、5G、6Gの新しい移動通信時代に活躍が期待されています。当社では、エンプラとスーパーエンプラに対して、安定した品質でメッキ加工を施せる工程を確立しており、既に多くの納入実績があります。
ABSとPCの2色成型品に対するメッキ加工が可能です。PCにはメッキ加工しづらいという特徴を生かして、ABSのみにメッキ加工を施せます。この技術を使えば、マスキングが困難な製品にも部分メッキが可能になります。メッキの種類によって装飾性や機能性などを付与でき、製品の装飾性や機能性を高められます。
実際には、ABSのみにメッキ加工を施す部分メッキを使って、意匠性や機能性を付与します。用途に応じて、装飾クロムメッキやニッケルメッキ、銅メッキ、金メッキなどの様々なメッキ処理を適用可能です。
金属微粒子を分散させた高比重の樹脂やカーボンナノファイバーなどを混ぜ込んだ樹脂に対するメッキ加工が可能です。玩具から自動車や航空宇宙用途まで、様々なニーズに対応します。また、ウレタンや光造形樹脂、3Dプリンターで作製した材料など、様々な素材に対するメッキが可能です。
金属微粒子を分散させた高比重の樹脂や、繊維強化プラスチック(FRP)、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、カーボンなどの特殊素材に対するメッキ加工が可能です。玩具から自動車や空宇宙用途までの様々な実績があります。装飾性の向上や機能性の付与など、用途に合わせた様々なメッキ処理に対応できます。
2色成型品へのメッキ加工を利用することで、3次元立体配線を形成することが可能です。従来の複雑なマスキング工程などが不要になり、メッキの見切りもきれいに処理できます。電子回路やモバイル機器用アンテナなどに使われています。
厚膜メッキを施すことで、樹脂に高い剛性(機械的強度)や放熱性、電磁波シールド特性を付与できます。マグネシウム合金の代替品として生産性の向上とコストの低減に貢献します。